こんにちは、Beta Computing株式会社の村松です。 今日は「競技かるた ONLINE」についてお詫びと裏話をお話いたします。
Android版の「競技かるた ONLINE」がインストールできない件について
まず、現在(2024年6月7日時点) Android版「競技かるた ONLINE」がGoogle Play ストアからインストールできない状況となっております。大変申し訳ございません。 本件、ユーザー様からのお問い合わせも多数頂いており、期待してくれている方も多くいる中で、ご迷惑おかけしている状況です。
こちら、原因は判明しておりまして、現在対応中でございます。 2024年9月頃にアップデート完了する予定ですので、もうしばらくお待ちいただけますようお願いいたします。 同時に、機能追加や読手音声の追加も予定しておりますので、ご期待ください。
なお、「競技かるた ONLINE」の更新状況については、公式X(旧Twitter)の方でもお知らせしてまいります。 よろしければフォローいただければと思います。 https://x.com/karutaapp
Beta Computing株式会社について
本記事をご覧の方の中には、弊社についてご存じない方も多いと思いますので、まずは会社紹介をさせていただきます。
弊社は2015年に創業しました石川県の津幡町(金沢市の隣)にあるスマートフォンアプリ開発に特化したソフトウェア開発会社です。
「競技かるた ONLINE」や「かるた読唱 〜百人一首読み上げ〜」を自社製品としてリリースしておりますが、かるた専門の会社ではなく、ゲーム専門の会社でもございません。
(かるたもゲームも大好きです。今後もかるたアプリやゲームアプリも開発してまいります。)
弊社のメイン事業は、ソフトウェア開発の受託業務でございます。 もし興味を持っていただけましたら、弊社HPの会社概要や開発実績をご覧いただければと思います。
「競技かるた ONLINE」の開発経緯について
「競技かるた ONLINE」は2019年4月25日にリリースしました。
「競技かるた ONLINE」を開発したきっかけ
「競技かるた ONLINE」を開発したきっかけは大きく分けて2つございます。
1.Beta Computingの自社製品がなかった
弊社のメイン事業はソフトウェア開発の受託業務ですが、創業当時は営業活動に苦戦しておりました。
というのも、創業当時は会社としての開発実績がなかったために、お客様に弊社のアプリのイメージや弊社の技術力を伝えることが難しいという課題がございました。
また、ソフトウェア業界には「秘密保持契約」というものがございまして、弊社で開発したアプリでもお客様企業の名前で世の中にリリースされることが多く、弊社の名前は外に出ない上、弊社の開発実績として掲載・紹介できないものがいくつも存在します。
(現在は弊社HPに「開発実績」のページがございますが、それぞれお客様の許可を頂けたものを掲載させていただいております。お客様には感謝申し上げます。)
そこで、自社製品を開発することで、営業時に弊社の技術力を伝えやすくしようと考えました。 悩んだ結果、オンライン対戦のゲームアプリであれば、技術的な難易度が高いため、営業にも役立つという結論になりました。 また、ゲームアプリであれば一般ユーザーに楽しんでもらえる上、広告塔として弊社の知名度向上にも繋がるのではないかと考えました。
2.漫画「ちはやふる」がおもしろく、影響を受けた
ゲームアプリを開発しようと考えましたが、具体的にどのようなアプリにするかは決めておりませんでした。
ちょうどその頃、弊社メンバーが「ちはやふる」にハマっていたこともあり、社内でかるた大会をしようとしました。しかし、実際に札や読み上げ音声を用意するのは面倒なので、簡単にアプリで遊べるものがないか調べたところ、競技かるたのルールに沿ったゲームアプリがないことに気が付きました。
そこで、競技かるたのアプリを開発しようということになりました。「ちはやふる」のおかげもあり、楽しんで開発に取り組むことができました。
企画時の余談
余談ですが、「競技かるた ONLINE」企画当初は、ゲーム性を持たせ、相手の札を並び替えてしまうような自分に有利なアイテムや、相手を1回休みにするような相手が不利になるアイテムなどを設ける案もありました。競技かるたのルールを忠実に再現すると、百人一首をすべて覚えている前提になるので、ターゲットとなるユーザー数が少なすぎると考えたからです。そのため百人一首を知らないユーザーでも遊べる仕組みにしようという案がありました。 しかし、競技かるたのルールに沿ったゲームアプリがないというきっかけから開発を決めたアプリだったので、実際に競技かるたをやっているユーザーや、これから競技かるたを本格的に始めるユーザーが楽しめるアプリを開発することにしました。
開発面でのメリット
また、競技かるたを題材にしたゲームアプリは開発面でも多くメリットがありました。その中でも3つほど紹介します。
1.必要なイラスト素材が少ない
ゲームアプリを開発するとなると、例えばアクションゲームやRPGゲームであれば、ステージの数だけステージ検討やイラストデータの素材、キャラクターの素材などが必要になり、莫大な費用がかかってしまいます。開発当時、弊社は3人体制の小さな会社だったので、開発費と時間を極力抑える必要がありました。
かるたであれば、最低限100枚の札と畳の画像データ、読手音声のデータさえあれば開発できます。
2.札を飛ばす物理演算
競技かるたでは、漫画や映画で札を弾き飛ばしている様子が描かれますが、札押しというルールがあります。ただ札をタッチするだけではなく、ルールに沿って札を弾き飛ばしたいと考えました。また、ユーザーにとっても札を弾き飛ばせることが楽しいと考えたからです。
この札押しを再現するためには、物理演算という札の動きを計算して表現する必要があります。札押しの再現が技術力のアピールに繋がると考え開発しました。
その他にも、和の雰囲気を伝える見た目、説明書がなくても使いやすいUI/UXなどにこだわって開発しました。特に伝統的な日本語の文字遊びを意識しており、テキスト表示はメニュー画面を含め、縦書きになるようこだわっています。実は文字の縦書きをスマートフォンアプリ上で綺麗に見せることは大変難しく、他のアプリではあまり見られない高度な技術力アピールになっています。
3.リアルタイムオンライン対戦
スマートフォンアプリでは通信処理が絡むことが多いです。技術力宣伝のためにもネットワーク周りの処理を実装したかったのですが、かるたゲームであればリアルタイムにオンライン通信する必要があります。
リアルタイムオンライン対戦を実現することで、業務アプリの通信処理でも開発できる技術力があるというアピールに繋がります。
よくある質問
こちらも余談ですが、オンライン対戦についてはユーザー様からのお問い合わせも多いので、よくあるご質問2点にお答えします。
よくある質問1:オンライン対戦で自分の方が早く取ったにも関わらず、相手の取りになった
判定の取得秒数につきまして、決まり字が読まれてから取るまでの時間を端末内で0.001秒単位で計測し、何秒で取ったかを解析しております。オンライン対戦では各自計測した秒数を相手と突き合わせて、早い方の取りになります。ですので、取りの判定に誤りはございません。
しかし、自分もしくは相手の端末スペックが低い場合やネットワーク環境が悪い場合は、試合中に表示される取りのエフェクトが遅れて表示されることがございます。
特にネットワーク環境が悪い場合は、取ったことを対戦相手に伝えるまでの通信に時間がかかってしまうのでアプリ側ではどうしても改善できません。
そのため、エフェクトは遅れて表示されるが、実際は相手がもっと早く取っていたという状況が発生し、自分の方が早く取ったにも関わらず、相手の取りになったという見え方になってしまいます。
恐れ入りますが、取りの判定結果が正しいもので、エフェクトは参考程度に見えるものとご了承いただきますようお願いいたします。
よくある質問2:札押しをしたのに取り判定にならない
札の払いに関しましては、競技かるたの公式ルールに従いまして、札が競技線の外に完全に出た瞬間に取りの判定になります。札の一部でも競技線の内側に残っていると取り判定にはなりません。
ですので、札が競技線の外に完全出る前に、対戦相手に札直で触れられると相手の取りになります。
どちらもコンマ何秒の世界になりますので、技術的に実現が難しく、表現も難しいため、分かりづらい部分もあるかと思いますが、ご了承いただけると幸いです。
開発秘話 や 開発費と運営費 について
記事が長くなりましたので、次の記事に分けて書きたいと思います。
続きます。