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端末管理アプリ ~ 機能紹介 ~

この記事について

こんにちは、Beta Computing株式会社ソフトウェア開発者の尾崎です。
今回、社内で利用する業務改善用のiOSアプリを開発しました。
この記事ではアプリの概要や機能について紹介したいと思います。
(技術的な内容は次の記事でお話します。)

blog.betacomputing.co.jp

背景

弊社は主にスマートフォン向けアプリを開発しているので、テストや動作確認のためにスマホ・タブレット端末をいくつも所有しています。
各端末は開発時の状況に応じてOSバージョンを変更したり、経年劣化による不調が見られたり(バッテリーの劣化、ボタンの反応が悪いなど)するのですが、これまでは表計算シートや口頭ベースで管理しており、各端末の状態の把握が煩雑でした。
また、開発中のテストや動作確認などでリモートワーク中の社員に端末を貸し出すことがありますが、こちらもチャットアプリや口頭ベースで管理していたので、誰がどの端末をいつから借りているかという状況が見えづらいという問題がありました。
そこで上記の問題を解消するため、今回は端末の状態と貸出状況を管理するアプリを開発しました。

アプリの概要

本アプリは以下の3つのタブから構成されます。

  • 端末一覧タブ
    • 所有する端末一覧をリスト表示します。
    • 新規端末の追加や詳細情報の確認、編集はこの画面から行います。
  • 貸出状況タブ
    • 貸出中の端末一覧をリスト表示します。
    • 貸出申請や返却処理はこの画面から行います。
  • 設定タブ
    • 貸出申請するユーザ(社員)情報の登録など各種設定を行います。

この構成のねらいは、メイン機能である『端末情報の管理』と『貸出状況の管理』を別々の画面に切り分けることで1画面の情報量が増えすぎるのを抑え、ユーザ操作をできるだけシンプルにすることです。
また、管理される各端末にはNFCタグを貼って端末情報を保存できるようにします。これによりスキャンするだけで端末情報や貸出状況を取得可能にし、申請時の操作がより簡潔になることを目指します。

必要なもの

  • 端末管理アプリをインストールするiPhone(iOS16+)
  • NDEF読み取り・書き込みが可能なNFCタグ

アプリの機能、使い方

以下に各画面の機能を紹介いたします。
(画面は開発中のものです)

端末一覧

端末一覧画面はサーバに保存された端末情報がリスト形式で表示されます。各セルには端末名、OSバージョン、シリアル番号と備考が表示され、状態が正常、故障、廃棄の3パターンで色分けされています。また、端末種類別のグループにセクションが分けられています。
①のフィルタボタンをタップすると表示設定画面が立ち上がり、表示する端末の条件と並び順を設定できます。

②の端末追加ボタンをタップすると新規端末の追加画面が立ち上がり、端末情報を入力して保存することができます。
③の端末情報セルをタップすると端末詳細情報画面へ遷移します。

端末詳細情報

①の端末情報では端末一覧画面で表示していない詳細な情報まで確認できます。

②の更新履歴には、端末情報を編集すると変更前後の値が表示されます。

③の編集ボタンをタップすると端末情報を編集画面が立ち上がります。
④のNFCスキャンボタンをタップするとモーダルが立ち上がり、端末情報をNFCタグへ書き込むことができます。端末情報を書き込んだタグを貼ることで、貸出/返却申請時のユーザ操作を簡略化することがねらいです。
⑤の戻るボタンをタップすると端末一覧画面へ戻ります。

貸出中端末

貸出中端末画面には貸出中の端末情報、ユーザ名、貸出日がリスト表示されます。

①の申請ボタンをタップすると、貸出返却処理メニューが表示されます。
NFCスキャンをタップするとモーダルが立ち上がり、端末に貼られたNFCタグを読み取ることで貸出/返却画面を起動することができます。

手動で選択をタップすると貸出端末選択画面が立ち上がり、貸出可能な端末のみが一覧表示されます。
右上のフィルタボタンをタップすると表示設定画面へ遷移し、表示する端末の条件を設定することができます。

手動で選択したときと、読み取ったNFCタグが貸出中でないときは貸出申請画面が立ち上がります。
②の貸出情報セルをタップしたときと、読み取ったNFCタグが貸出中だったときは返却画面が立ち上がります。申請または返却を実行するとサーバと通信し、貸出状況を保存します。
③の履歴ボタンをタップすると、貸出履歴画面へ遷移します。

貸出履歴

図: 貸出履歴画面

①には返却済みの端末情報、ユーザ、貸出日、返却日がリスト表示されます。

図: 貸出履歴フィルタ

②のフィルタボタンをタップするとフィルタメニューが表示され、表示する履歴の条件を指定できます。
③の戻るボタンをタップすると貸出中端末画面へ戻ります。

設定画面

図: 設定画面

①のユーザ設定をタップすると、社員の氏名を登録できる画面に遷移します。
②のNFCタグのデータ消去をタップすると、スキャンしたタグの中身を削除する操作が可能です。これによりNFCタグの再利用性を高めるのがねらいです。
③にはアプリのバージョンが表示されます。

使ってみて

現在弊社が所有する約40~50台ほどの端末をアプリに登録しましたが、一覧画面でグループ別に表示したりOS順に並べかえたりという機能は非常に使いやすいと感じます。従来は表計算シートで管理していましたが、情報の最終更新日が不明確ということもあり、シートを作成してから日が経つほど信頼性が薄れるという懸念点もありましたが、今回作成したアプリでは登録日と更新履歴が記録されるため、その点も改良されたように思います。また、社内では更新履歴に変更前のデータが表示されるという機能も好評でした。
一方、運用上のルールとしてアプリでの管理だけでなく、端末そのものにモデル名を記載したテプラも貼ることとしました。これにより更新や貸出の際に端末を探し出す時間をさらに削減することが目的です。
ソフトとハードの両方からアプローチすることで、より効果的に業務改善できたように思います。

おわりに

今回作成したアプリは社内用ということもあり、シンプルなデザインで開発いたしました。基本的にUIやアイコンはiOS標準のものを利用しています。(副産物的ですが、おかげで勝手にダークテーマにも対応できているのは後々になって気づきました。)ViewはSwiftUIで実装しましたが、よりiPhone標準アプリっぽい仕上がりになったと感じます。

また、今回はスマホ・タブレット管理用にデータベースや入力欄を構成しましたが、応用すればPC端末や他の機材類なども管理できるアプリが開発できると思います。
もし、似たようなお悩みを抱えている方がいらっしゃれば、弊社にご協力できることがあるかもしれません。お気軽にお問い合わせください。

次の記事では、技術的な面をお話ししたいと思います。